「いのち」を耕すコトバを見つけに

読書系ブログです。「いのち」を耕し、豊かにしてくれるコトバを見つけに、本の森へと分け入っていきたいと思っています。

神谷美恵子『生きがいについて』を読んで

おはようございます。

昨日(5/28)、『生きがいについて/神谷美恵子コレクション』(みすず書房)を読了しました。今回はその感想を簡単にまとめておきたいと思います。

本著は1966年に初版が刊行。その後2004年に『神谷美恵子コレクション』の1冊として「執筆日記」及び柳田邦男さんによる「解説」を付して刊行されています。

 

生きがいについて (神谷美恵子コレクション)

生きがいについて (神谷美恵子コレクション)

 

 

目次

はじめに

1.生きがいということば

2.生きがいを感じる心

3.生きがいを求める心

4.生きがいの対象

5.生きがいをうばい去るもの

6.生きがい喪失者の心の世界

7.新しい生きがいを求めて

8.新しい生きがいの発見

9.精神的な生きがい

10.心の世界の変革

11.現世へのもどりかた

おわりに

引用文献

『生きがいについて』執筆日記

解説 柳田邦男

感想など

私がこの著を初めて知ったのは、おそらく『生きる哲学』(若松英輔著、文春新書)においてであったと思います。また、本著を読むきっかけとなったのは、若松氏がナビゲーターを務めたTV番組「100分de名著」で2018年5月放送分であることを知り、そのテキストを読んだことです。

著者・神谷は基本的には精神科医です。本著はハンセン病療養所である長島愛生園での体験を踏まえ、つまりそこで出会った生きがいを喪失している患者/新たに生きがいを獲得した患者から感じ取ったことを踏まえて執筆されているものと言えます。

しかしこの著は、「生きがい」という「概念」を縷々述べたものとは言い切れません。むしろ、「生きがい」を見失うことがありうる現代という時代の困難性、「生きがい」の喪失と回復(=新たに獲得すること)について書かれているものと思います。それは、神谷の精神の遍歴であったのではあるまいかと私には思われます。

印象的だったのは、生きがいの大敵として神谷が挙げていたのは、「退屈」と「愚痴」であったことでした。

また、若松による『生きる哲学』における言及からの影響は否定できませんが、生きがいを感じとり、喪失した生きがいを回復するのには、「あなたは必要とされている」との「他者」からの呼びかけを感ずる/観ずるところにあるとされていたと感じました。

読んでいる最中は、その倫理性や「精神主義」というべきものに、やや辟易としていたのですが、若松の言及を読むと、神谷が遺したこの著の果たした役割の大きさや今日性がありありと伝わってきます。併読されることを強くおすすめしたいと思います。

  

生きる哲学 (文春新書)

生きる哲学 (文春新書)

 

 

神谷美恵子『生きがいについて』 2018年5月 (100分 de 名著)
 

 

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今回はここまでといたします。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

茶箪笥

 

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